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【2025年6月義務化】職場の熱中症対策、クリニック・薬局・介護施設も対象って知っていますか?今すぐ確認したい3つのこと

2026/07/10

【2025年6月義務化】職場の熱中症対策、クリニック・薬局・介護施設も対象って知っていますか?今すぐ確認したい3つのこと

「うちは冷房の効いた院内だから、熱中症対策の義務化なんてうちには関係ないよね?」

——そう思っていませんか? 実は2025年6月から、職場の熱中症対策は”罰則付きの義務”になりました。しかも対象は建設現場や工場だけではありません。クリニック・歯科医院・薬局といった医療機関や、介護施設も、場面によってはしっかり対象に入ってきます。

診察室はエアコンが効いていても、訪問診療の移動中や、空調のない書庫・機材室、入浴介助の浴室となると話は別。義務化から2年目の夏を迎えるいま、あらためて「うちは大丈夫か?」を確認しておきたいところですよね。

このコラムでわかること

  • 2025年6月に始まった「熱中症対策の義務化」の中身(施行日・対象・罰則)
  • 「うちは冷房があるから関係ない」が通用しないケース
  • 医療機関・介護施設の現場で見落としやすい熱中症リスクの場面
  • 事業主に義務づけられた「3つの対応」と、その進め方
  • 熱中症が起きたときの労災・安全配慮義務のリスク
  • 今から準備できる、現場で回る体制づくりのステップ

📌 結論を先に

2025年6月1日から、一定の暑さ環境で作業がある事業場には、熱中症対策が”罰則付きの義務”になりました。医療機関や介護施設でも、訪問・入浴介助・厨房・空調のない場所での作業があれば対象になり得ます。まずは「①報告体制」「②重篤化を防ぐ手順」「③スタッフへの周知」の3点を整えることが第一歩です。

2025年6月から何が変わった? 熱中症対策の「義務化」とは

結論から言うと、これまで”努力義務”だった職場の熱中症対策が、2025年6月1日から罰則付きの法的義務になりました。根拠は、労働安全衛生規則に新しく設けられた第612条の2です。

背景にあるのは、近年の猛暑と職場での熱中症災害の増加です。厚生労働省の統計では、2024年(令和6年)の職場での熱中症による死傷者は1,257人で前年より約14%増え、死亡者数は3年連続で年間30人を超えました。しかも死亡・重症化した事例の多くが、初期症状の見逃しや対応の遅れが原因だったとされています。この「気づくのが遅れた」「対応が後手に回った」を防ぐために、事業主にやるべきことが明確に課されたわけです。

対象になるのはどんな作業?

義務化の対象は、次の2つの条件を”どちらも”満たす作業です。企業の規模や業種は問いません。

① WBGT(暑さ指数)が28度以上、または気温が31度以上の環境

② その環境下で、連続して1時間以上、または1日あたり合計4時間を超えて行われることが見込まれる作業

💡 「WBGT」ってなに?

WBGT(暑さ指数)とは、気温だけでなく、湿度・輻射熱(日差しや地面・建物からの照り返し)・風の要素をまとめて評価した「暑さのものさし」です。同じ気温でも、湿度が高い浴室や風の通らない書庫ではWBGTがぐっと上がります。だから「気温は31度もないから大丈夫」とは言い切れないのですね。正確な値は専用のWBGT指数計で測ります。

守らないとどうなる?

この義務は、努力義務ではなく罰則付きです。措置を怠った場合、労働安全衛生法にもとづき罰則の対象になり得ます。

⚠️ 罰則の内容

義務に違反した場合、「6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」の対象となる可能性があります(両罰規定により法人にも罰金が科され得ます)。あわせて、労働基準監督署による是正指導や、重大な事故があった場合の作業停止命令につながることもあります。

「うちは冷房があるから関係ない」は本当? 医療機関・介護施設で見落としがちな場面

ここが、いちばんお伝えしたいところです。「診察室は涼しいから対象外」と思って手を打たない——これが医療機関・介護施設でいちばん多いつまずきポイントです。実際のご相談でも、院内の空調だけを見て安心してしまい、屋外業務や空調のない場所が抜け落ちているケースが少なくありません。

医療機関や介護施設でも、次のような場面は暑さ指数が基準を超えることがあり、対象作業に該当し得ます。

🩺 訪問診療・訪問看護・訪問服薬指導の移動……真夏の徒歩・自転車・車内はWBGTが跳ね上がります。移動時間も労働時間の一部です。

🛁 入浴介助(介護部門・デイサービスなど)……浴室・脱衣所は高温多湿。まさにサウナ状態になりがちです。

🍚 給食・厨房作業……火気と湿気で、屋内でも高温になりやすい場所です。

📦 空調のない書庫・倉庫・機材室・滅菌室……普段人がいない場所ほど、エアコンが入っていないことが多いものです。

🚐 送迎車の運転・車内での待機……エンジンを切った車内は短時間でも危険な暑さになります。

看護師・薬剤師・歯科衛生士・歯科助手・医療事務・介護スタッフなど、どの職種でも当てはまる場面がありますよね。「院内は涼しい」だけで判断せず、”どの作業が、どこで、どれくらいの時間行われているか”で見ていくのがポイントです。

事業主に義務づけられた「3つの対応」

では、具体的に何をすればいいのでしょうか。今回の改正で必須となったのは、大きく次の3つです。

① 報告体制の整備

「自分に熱中症の症状が出た人」や「熱中症のおそれがある人を見つけた人」が、すぐに報告できる連絡先・担当者を、事業場ごとにあらかじめ決めておくことが求められます。訪問系のスタッフが多い場合は、外出先から誰にどう連絡するかまで決めておくと安心です。

② 重篤化を防ぐ措置と手順の作成

熱中症が疑われたときに、慌てず動けるよう、対応の手順を先に決めておきます。具体的には、作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じた医師の診察・処置、そして緊急連絡網・救急搬送先の連絡先や所在地などです。厚生労働省の資料には参考フロー図もありますが、あくまで参考例なので、貴院・貴社の実情に合わせて作り込むのがベストです。

③ 関係者への周知(+労働衛生教育)

①②を決めただけでは足りません。わかりやすい場所への掲示などで関係するスタッフ全員に周知し、症状・予防法・緊急時の動き方を教育しておくことが求められます。文書を配って終わりではなく、実際に体が動くところまで落とし込むのが大事なところです。

もし熱中症が起きたら? 労災と「安全配慮義務」のリスク

正直に申し上げると、罰則そのものより怖いのは、実際にスタッフが倒れてしまったときのダメージです。業務中の熱中症は労災にあたり得ますし、対策が不十分だったとなれば、労働契約法上の「安全配慮義務」違反として損害賠償を問われるリスクもあります。

スタッフが体調を崩せば、人手が薄くなり、残ったスタッフの負担が増え、患者さんへの対応にも影響します。義務化への対応は、こうした連鎖を防ぐための”守り”でもあるのですね。

やりがちなNG対応・望ましいOK対応

❌ ありがちなNG対応

・「院内は冷房が効いているから、うちは対象外」で片づける

・訪問・送迎・入浴介助など、屋外や高温多湿の業務を見落とす

・「体調が悪そう」と思っても、本人任せで様子を見てしまう

・手順や連絡先を決めても、掲示・周知をしていない

✅ 望ましいOK対応

・”どの作業がどこで行われるか”で、対象になり得る場面を洗い出す

・報告先・緊急連絡網・搬送先を決めて、見える場所に掲示する

・「おかしいと感じたら、ためらわず中断・報告」を全員のルールにする

・季節前に一度、全スタッフで手順を共有・確認しておく

こんな医療機関・介護施設は特に要注意

  • 訪問診療・訪問看護・訪問服薬指導を行っている
  • 介護部門やデイサービスがあり、入浴介助・送迎がある
  • 給食・厨房を院内で運営している
  • 空調のない書庫・倉庫・機材室での作業がある
  • 「対策マニュアルは特に作っていない」「口頭で伝えているだけ」
  • 緊急時の連絡先や搬送先を、スタッフ全員が把握できていない

ひとつでも当てはまるなら、この夏の前に一度、体制を点検しておくチャンスです。

「義務だから」ではなく「スタッフを守る」体制づくりのチャンス

ここまで読んで、「やることが多くて大変そう…」と感じたかもしれません。でも、裏を返せば、報告体制と対応手順を一度きちんと整え、スタッフに共有しておけば、いざというときに慌てず動ける職場になります。

これは、スタッフに「この職場は自分たちの安全を本気で考えてくれている」と伝わる取り組みでもあります。人手不足が続く医療機関・介護施設にとって、安心して長く働ける環境づくりは、採用・定着の面でも大きな強みになります。義務化を、体制を見直す前向きなきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

よくある質問(FAQ)

Q. 院内は全室エアコン完備です。それでも対策は必要ですか?

A. 診察室など空調の効いた場所だけなら対象外のこともあります。ただし、訪問業務・送迎・入浴介助・厨房・空調のない書庫などがあれば、その作業は対象になり得ます。”院内全体”ではなく”作業ごと”に見ていくのがポイントです。

Q. スタッフが数人の小さなクリニックでも対象ですか?

A. はい。今回の義務化に、企業規模の下限はありません。対象作業があれば、規模にかかわらず対応が必要です。

Q. WBGT指数計は必ず買わないといけませんか?

A. 報告体制・手順の整備・周知が今回の義務の中心です。WBGTの把握はその前提として重要で、環境省の暑さ指数サイトなどで日々の値を確認する方法もあります。作業環境に応じて、測定手段を検討しておくと安心です。

Q. 何から手をつければいいのか分かりません。

A. まずは「対象になり得る作業の洗い出し」→「報告先・緊急連絡網・搬送先の決定」→「対応手順の作成」→「スタッフへの周知・教育」の順で進めるのがおすすめです。自院だけで悩まず、社労士に相談しながら整えると、抜け漏れを防げます。

まとめ

項目 内容
施行日 2025年(令和7年)6月1日
対象 WBGT28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間超が見込まれる作業(規模・業種問わず)
義務の中身 ①報告体制の整備 ②重篤化を防ぐ措置・手順の作成 ③関係者への周知・教育
罰則 6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の可能性(法人にも罰金あり)
医療機関・介護施設の注意点 訪問・入浴介助・厨房・空調のない場所・送迎などが対象になり得る

ご相談はお気軽に

「うちの作業が対象になるのか判断できない」「熱中症の対応マニュアルを作りたい」「スタッフ向けに研修をしたい」「就業規則や規程にどう反映すればいいか分からない」——。

そんなお悩みがあれば、ぜひTOMOE社会保険労務士事務所にご相談ください。栃木県小山市を拠点に、歯科医院・クリニック・薬局などの医療機関や介護施設の労務課題に数多く対応してきた実績があります。貴院・貴社の実情に合わせて、対象作業の洗い出しから、報告体制・対応手順の整備、マニュアル作成、スタッフ研修まで、丁寧に伴走させていただきます。暑さが本格化する前の、早めの準備がいちばんの安心材料です。


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参考資料・出典

※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。最新の情報は厚生労働省ホームページをご確認ください。