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【令和9年4月1日施行】健康診断の項目が約20年ぶりに変わります!血清クレアチニン検査の追加と、企業が今すぐ準備すべきこと

2026/05/30

【令和9年4月1日施行】健康診断の項目が約20年ぶりに変わります!血清クレアチニン検査の追加と、企業が今すぐ準備すべきこと

「健康診断のお知らせを毎年配ってるけど、来年からちょっと内容が変わるんだって?」
そんな話を、社内でちらっと耳にした担当者の方、いらっしゃるかもしれません。

実は、令和9年(2027年)4月1日から、企業が実施する一般健康診断の検査項目が約20年ぶりに見直されます。2026年4月28日付で「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令」が公布され、施行に向けて準備が始まっています。

「うちは毎年ちゃんと健診やってるから大丈夫」と思っている経営者の方もご安心を…と言いたいところですが、今回の改正は健診機関だけでなく、企業側にも対応が必要です。

このコラムでは、

  • 具体的に何がどう変わるのか(改正のポイント3つ)
  • なぜ今この見直しなのか(背景)
  • 企業として今から準備しておきたいこと
  • うっかり見落としがちな「個人情報」の落とし穴

を、できるだけわかりやすく解説していきます。

令和9年4月、健診はどう変わる? ─ 改正の3つのポイント

今回の改正は、長時間労働対策の医学的エビデンスや、検査技術の進歩を踏まえた、約20年ぶりの本格的な見直しです。ポイントは大きく3つです。

① 血清クレアチニン検査が【新しく追加】されます

今回の改正の最大の目玉がこれです。

「血清クレアチニン検査」とは、血液中のクレアチニン濃度を測ることで、腎臓の機能(腎機能)を調べる検査です。この値からeGFR(推算糸球体濾過量)が算出され、慢性腎臓病(CKD)の早期発見に役立ちます。

対象となる健康診断は次の4つです。

  • 雇入時の健康診断(安衛則第43条)
  • 定期健康診断(安衛則第44条)
  • 特定業務従事者の健康診断(安衛則第45条)
  • 海外派遣労働者の健康診断(安衛則第45条の2)

さらに、高度プロフェッショナル制度の臨時の健康診断にも追加されます。

💡 40歳未満は医師の判断で省略可能
厚生労働省告示により、血清クレアチニン検査について「40歳未満の者」については、医師が必要でないと認めたときは省略できることになりました。これは、貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査・心電図検査と同じ取り扱いです。

② 喀痰(かくたん)検査が【廃止】されます

これまで、胸部エックス線検査で結核の疑いがあると診断された方に対して実施されていた「喀痰検査」が、健康診断の法定項目から廃止されます。

背景には、結核の罹患率が大幅に低下したという状況の変化があります。また、検討会報告書では、結核感染が疑われる場合は喀痰検査の結果を待たず、速やかに医療機関への受診勧奨を行うほうが適切であるとされました。

⚠️ ただし、ここに大きな落とし穴があります(後述)。

③ 肝機能検査の【酵素名が変わります】

肝機能検査の酵素名が、国際標準(IFCC勧告)に合わせて変更されます。

現行(旧名称) 改正後(新名称)
GOT AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
GPT ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)
γ-GTP γ-GT(ガンマグルタミルトランスフェラーゼ)

検査内容そのものは変わりません。あくまで「呼び方」が変わるだけです。

💡 当面は併記もOK
厚労省の通達でも、「事業者や労働者が旧名称の方が理解しやすい場合は、新名称と旧名称を併記しても差し支えない」とされています。「あれ?GPTがなくなった!」と従業員が驚かないよう、しばらくは両方表記しておくと親切ですね。

改正前後の検査項目を比較してみよう

現行(令和9年3月31日まで) 改正後(令和9年4月1日から)
① 既往歴・業務歴の調査 変更なし
② 自覚症状・他覚症状の有無の検査 変更なし
③ 身長・体重・腹囲・視力・聴力 変更なし
④ 胸部エックス線検査および喀痰検査 胸部エックス線検査(喀痰検査は廃止
⑤ 血圧の測定 変更なし
⑥ 貧血検査 変更なし
⑦ 肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP 肝機能検査(AST・ALT・γ-GT)※名称変更
⑧ 血中脂質検査 変更なし
⑨ 血糖検査 変更なし
⑩ 尿検査 変更なし
⑪ 心電図検査 変更なし
(該当なし) ⑫ 血清クレアチニン検査(新規追加)※40歳未満は省略可

そもそも、なぜ今「腎臓の検査」?

「腎臓って、過労と関係あるの?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。実は大ありなんです。

日本の勤労世代(20歳〜65歳)における慢性腎臓病(CKD)患者は約250万〜500万人と推定されています。CKDは初期に自覚症状がほとんどなく、進行すると人工透析が必要になることもある、まさに「沈黙の臓器の病気」です。

そして近年の研究で、長時間労働・夜間勤務・睡眠不足・運動不足・高温環境での労働などが、CKDの発症や進行のリスクとなることが明らかになってきました。

これまでの健診で行われていた尿検査(蛋白・糖)だけでは、初期の腎機能低下を見逃してしまうケースがありました。血清クレアチニン検査を加えることで、従業員の腎機能低下を早期に発見し、重症化を防ぐことができるようになります。

つまり今回の改正は、単なる項目追加ではなく、「長時間労働対策」の医学的な裏付けを強化する意味も持っているのです。

⚠️ 要注意!「喀痰検査廃止」に潜む個人情報の落とし穴

ここはぜひ覚えておいていただきたいポイントです。

喀痰検査の結果は、個人情報保護法上の「要配慮個人情報」に該当します。改正前は労働安全衛生法に基づく法定項目だったため、企業は本人の同意がなくても情報を取得できました。

しかし、令和9年4月以降は法定項目ではなくなるため、もし喀痰検査の結果を取得する場合は、あらかじめ本人の同意が必要になります。

「これまでと同じだから」と無意識のうちに喀痰検査結果を受け取ってしまうと、個人情報保護法違反となる可能性があります。

健診機関との契約内容や、産業医との連携方法を、施行前にしっかり見直しておきましょう。

企業がやっておきたい準備チェックリスト

施行日(令和9年4月1日)まで、まだ約10か月あります。慌てずに、計画的に進めていきましょう。

✅ STEP 1:健診機関との打ち合わせ・契約内容の確認

  • 令和9年4月以降に実施する健診への対応状況を確認する
  • 血清クレアチニン検査の追加に伴う費用の変更を確認する(1人あたり数十円程度の上乗せが見込まれています)
  • 40歳未満の労働者に対する血清クレアチニン検査の省略可否について方針を相談
  • 喀痰検査廃止後の対応(特に結核疑い時の連携方法)を確認

✅ STEP 2:社内システム・帳票類の更新

  • 健康診断個人票(安衛則様式第5号)の検査項目を更新
  • 定期健康診断結果報告書(安衛則様式第6号の2)の様式を新しいものに変更
  • 労務管理システム・人事データベースで、肝機能検査の酵素名(GOT→AST、GPT→ALT、γ-GTP→γ-GT)の表記を変更
  • 健康管理手帳を交付している場合は、施行日前に交付したものは引き続き使用可能

✅ STEP 3:産業医・衛生管理者との連携

  • 新規追加される血清クレアチニン検査の意味、eGFR値の解釈について産業医と共有
  • 40歳未満の労働者への省略判断について、産業医の方針を確認
  • 所見があった場合の就業上の措置(労働時間の制限、業務内容の変更など)の判断基準を整理
  • 長時間労働者への臨時健診との連動を検討

✅ STEP 4:従業員への周知・教育

  • 新たに追加される血清クレアチニン検査の目的・意味を従業員に説明する
  • 肝機能検査の酵素名変更について事前にアナウンス(「結果表示が変わります」と一言)
  • 慢性腎臓病(CKD)に関する健康教育の機会を設ける
  • 長時間労働と腎機能の関係について、健康セミナーなどで啓発

✅ STEP 5:高度プロフェッショナル制度を導入している場合

  • 労使委員会の決議内容を見直し、臨時健診の項目に血清クレアチニン検査を追加
  • 選択的措置に関する就業規則の改定が必要かを検討

こんな企業はとくに早めの対応を

  • 長時間労働や深夜業が常態化している会社
  • 製造業・物流業・建設業など、身体的負荷の大きい業務を行う会社
  • 夏季の高温環境下での作業がある会社
  • 40歳以上の従業員の割合が高い会社
  • 海外派遣労働者を抱える会社
  • 高度プロフェッショナル制度を導入している会社
  • 健診結果を社内システムで管理し、自動的に分析している会社(システム改修が必要)

「健康診断、ちゃんと活用してますか?」

正直に申し上げると、健康診断は実施すること自体が目的になってしまっているケースが少なくありません。

でも、健診結果を見て「いつもより少し疲れているかも」「働き方を見直そうか」と気づける仕組みがあれば、従業員の健康を守るだけでなく、過労によるトラブルや突然の離職を防ぐことにもつながります。

今回の改正で追加される血清クレアチニン検査は、まさに「働き方を映す鏡」のような検査です。改正をきっかけに、自社の健康管理体制を見直してみてはいかがでしょうか。

まとめ

項目 ポイント
公布日 令和8年(2026年)4月28日
施行日 令和9年(2027年)4月1日
主な改正 ①血清クレアチニン検査の追加、②喀痰検査の廃止、③肝機能検査の酵素名変更
対象の健診 雇入時/定期/特定業務従事者/海外派遣/高プロ臨時健診
40歳未満の取扱い 血清クレアチニン検査は医師判断で省略可
注意点 喀痰検査結果は「要配慮個人情報」、取得には本人同意が必要に
今やること 健診機関との調整 → 帳票・システム更新 → 産業医連携 → 従業員への周知

ご相談はお気軽に

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施行日まで残り約10か月。早めの準備が、いちばんの安心材料です。

参考資料・出典

※本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。最新の情報は厚生労働省ホームページをご確認ください。